介護労働者を確保するために、経営労務診断・経営労務監査はどのように役立ちますか?
経営労務診断や経営労務監査は、介護事業所の労働環境の健全化とコンプライアンスの強化に貢献することで、介護労働者の確保に非常に役立ちます。
主な役割は以下の通りです。
1. 企業イメージと信頼性の向上による採用力の強化
- 「人を大切にする企業」のアピール:診断・監査を通じて法令遵守や適切な労務管理を行っていることを明確にし、公的な認証(社労士診断認証制度など)を受けることで、「人を大切にする企業」であることを社会にアピールできます。
- 求職者への安心感の提供:特に介護業界では、過重労働や低い賃金といったイメージから敬遠されがちです。労務管理の健全性が証明されることで、求職者に対し、安心して働ける職場であるという信頼感を与えることができ、応募者の増加につながります。
- 透明性の確保:診断結果を公表することで、賃金や労働時間、有給休暇の取得状況、育児・介護休業の取得実績などの企業実態が求職者にとって貴重な情報源となり、高い信頼性が生まれます。
2. 労働環境・待遇の改善による定着率の向上
- 課題の明確化と改善:診断・監査により、長時間労働の常態化、不適切な賃金計算(残業代未払いなど)、ハラスメントリスク、有給休暇の不適切な運用など、人事労務管理上の潜在的な問題点を客観的に把握できます。
- 働きがいのある環境整備:特定された課題に基づき、適切な労働条件や労働時間の管理、公正な評価制度、キャリアパスの整備など、従業員のモチベーション向上やエンゲージメント(愛着心・貢献意欲)を高めるための具体的な改善策を講じることができます。
- 離職の防止:労働環境が改善され、働きやすさが向上することで、従業員の満足度が高まり、高い定着率につながります。慢性的な人手不足の解消には、新規採用だけでなく、既存の従業員が辞めないようにすることが不可欠です。
3. 労務コンプライアンスの強化とトラブルの未然防止
- 法令違反リスクの低減:労働関係法令(労働基準法、育児・介護休業法など)の遵守状況を徹底的にチェックし、コンプライアンス違反を未然に防ぎます。特に介護報酬の算定にも関わる配置基準や労働時間管理の適正化は重要です。
- 労使トラブルの回避:不適切な労務管理が原因で発生する従業員とのトラブル(労働審判、訴訟など)や労働基準監督署からの是正勧告を回避し、経営リスクを低減できます。
これらの活動を通じて、介護事業所は「ブラック企業」というイメージを払拭し、優良な労働環境を整備することで、結果的に優秀な介護労働者を確保し、定着させる好循環を生み出すことができます。
